毎年よさこい祭りを楽しみにされているファンの皆様、
そもそもこの「よさこい」の語源をご存知でしょうか?
よさこいとは土佐弁で「夜にいらっしゃい」という意味。
意外に思われた方も多いのではないでしょうか?
戦後の復興を目的として発祥した高知県の「よさこい祭り」。
毎年8月9日から4日間に渡り開催され、
この時期にはもうすでに練習に取り組んでいる参加チームも多いのでは?
言わずと知れた「よさこい祭り」、
当初は参加者750名ほどの小さい規模のお祭りでしたが、
現在では参加チーム200組、
約20,000人が参加する大きなお祭りに成長しました。
古き良き時代を取り入れながらも年々進化を遂げるよさこい祭りは、
観る者の心を掴んで離しません。
地元の人でなくとも毎年よさこい祭りを心待ちにしている人も
多くいらっしゃることでしょう。
今回は、まさによさこい祭りのルーツである
「よさこい」という言葉について調べてみましたよ。
よさこい祭りの歴史をたどれば、
毎年楽しみにしているよさこい祭りがもっと楽しく
奥深いものになること間違いなし。よさこい祭りのファンの方必見です。
夜さり来いという古語の変化によるもの
まず「よさこい」という言葉の語源ですが、
土佐弁の「夜さり来い」という言葉が変化したという由来が一般的のようです。
高知県には大きく分けて幡多弁と土佐弁、二つの方言があり、
「夜さり来い」は土佐弁のほう。
土佐弁といえば坂本龍馬でひろく知られていますね。
「夜さり」とは「今夜」とか「夜分」という意味を指し、
「来い」はそのまま「来てください」という意味を指します。
つまりは「夜にいらっしゃい」という意味であり、
お祭りが夜分遅い時間まで続くためこのような解釈が一般的になったそうです。
以上の語源がいちばん有力とされている説のようですが、
やはりこれ以外にも諸説あり、
たとえば「よってらっしゃい」とか「ヨイショこい」などが
語源になっているという説もあるようです。
こちらの説は「よさこい節」の囃子詞である
「よさこい、よさこい」という歌詞に深く関りがありそうですね。
9世紀から使われてきた歴史ある言葉
さらに前の項目で説明した「夜さり」という言葉はなんと
9世紀末から使われてきた言葉なのですよ。
9世紀末といえば日本でいうとちょうど平安時代初期にあたる時代。
あのあまりにも有名な竹取物語にも
「夜さり」という言葉がすでに登場しています。
さらに時を経て江戸時代に上映された人形浄瑠璃では、
夜さりの「り」だけが取れた「夜さ」という言葉でも登場しています。
このように、よさこいの語源である「夜さり来い」という言葉は、
非常に歴史ある言葉というわけですね。
この歴史ある言葉を21世紀になった現在でも受け継ぎ、
日本有数のお祭りとして親しんでいるのです。
まさに伝統文化の継承。
わたしたちのこんなに身近なところに
古くから受け継がれてきた歴史があったのです。
高知県民がよさこいを使うシチュエーション
このように「よさこい」という言葉の歴史をさかのぼれば「夜にいらっしゃい」
という語源が存在するわけですが、
現在でいう「よさこい」とは主に高知県の民謡である
「よさこい節」や「よさこい祭り」のことを指し、
今もなお土佐弁自体は息づいていますが
「夜にいらっしゃい」という意味合いではほとんど使用されていないようです。
つまり高知県民が「よさこい」を使うシチュエーションというのは、
他県の人と同じく「よさこい節」や
全国各地で開催される「よさこい祭り」を指す場合ということですね。
まとめ
ちなみに前の項でご紹介した「よさこい節」の代表的な歌詞には、
“土佐の高知の はりまや橋で
坊さんかんざし 買うを見た
よさこい よさこい
御畳瀬 見せましょ 浦戸を開けて
月の名所は 桂浜
よさこい よさこい
言うたちいかんちゃ おらんくの池にゃ
潮吹く魚が泳ぎより
よさこい よさこい“
とあります。
これは幕末に高知城下で起こった若い僧侶が、
美しい女性にかんざしを買うという許されざる恋をテーマに書かれた民謡です。
よさこい祭りでは、この「よさこい節」の一節を披露する演目の曲に組み込み、
出演する踊り子は手に「鳴子」という楽器を持つという決まりが有り、
この二つのルールさえ守れば誰でも出場し演舞することが出来ます。
由緒ある歴史を守り日本の古き良き伝統を継承しながら、
なおかつ時代に柔軟に対応する姿勢こそが「よさこい祭り」を長きに渡り継続し、
日本人のみならず世界中に愛され続ける秘訣なのかもしれませんね。
盛り上がりを保ちながら今もなおわたしたちを魅了し続ける「よさこい祭り」。
歴史を紐解けばまたひとつ趣が深まり、
より一層わたしたちを楽しませてくれることでしょう。
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