京都の祇園祭のお稚児さんが選出されると、ニュースで話題になりますよね。
お稚児さんは、家柄で選ばれているってご存知でしたか?
でもなぜ、お稚児さんには、お家柄が重要なのでしょうか。
それでは早速ご紹介します。
祇園祭のお稚児さん!いい家柄の子が選ばれる
毎年6月上旬に選ばれるお稚児さん。
一体どのようにして、選ばれるの?と思いますよね。
お稚児さんの選び方は「神事に関わること」なので非公開とされています。
立候補や一般公募はなく、全て非公開で勧められています。
実際に、選ばれた多くのお稚児さんは、
祇園祭の役員周辺や、有力な自営業者で資産家の家柄で、
尚且つ、過去1年以内に身内で不幸がなかったことが条件で、
8歳〜10歳の年頃の男の子が選ばれているようです。
選出されたお稚児さんは、毎年6月の大安の日に、
長刀鉾町の代表者と養子縁組の結納を交わし、形式的に長刀鉾町の養子になります。
お稚児さんって養子にならなきゃいけないの?と思いますよね。
これは、本来ならば、「長刀鉾町の鉾に乗る子は、同じ町内から選出しよう」
といった昔からのしきたりになぞらえたもので、
地元の方のお話によると、
少子化が進む今では、なかなか適切な子供を探すのが難しい。
との理由から、形式的に養子になるのだとか。
そして、自営業の資産家から選出される一番の理由は、
何と言っても、祇園祭のお稚児さんをサポートするには、
気力や体力、そしてそれ以上に、お金がものすごくかかるからです。
「お金がものすごくかかる。」そう考えると、
お稚児さんの候補に上がる企業も、ある程度限られている為、
兄弟でお稚児さんをしたり、親子でお稚児さんをしたりといった、
ケースがよくあるようですよ。
お稚児さんは名誉職!費用がものすごくかかる
「◯◯さん家の息子さんは、お稚児さんだって〜」
と、その後、何年も、語り継がれる名誉職のお稚児さん。
自営業や商売をしている方にとっては大変良い宣伝になります。
しかし、お稚児さんに選ばれると、お稚児さんの費用は全てそのお家持ち。
費用がものすごくかかります。
その総額はなんと!2000万円を下らない!と言われています。
例えば、お稚児さん自身の衣装もそうですが、
お稚児さんのお父さんは紋付袴を、お母さんは着物を新調します。
祇園祭の中でお稚児さんには、たくさんの儀式があるため、
お母さんの着物も1着ではなく、その場その場に合わせたものが必要です。
その為、お稚児さんの家を担当する呉服店では、
お母さんの着物代だけで、約1年分の利益がある。という話もあるようです。
また、関係者の飲食代や接待費、ご祝儀や寄付金、お心付け、ハイヤー代など
諸費用を含め莫大な費用がかかります。
数千万円で名前が広がるのであれば、安い!と言う方もいるそうですが、
そう考えると、やはり資産家や会社の社長の息子さんなどの、
お家柄の良いお坊ちゃんしか、務まらないのもなんだか納得ですよね。
祇園祭のお稚児さんは神様代わり!
古代から、「幼い子供には、神霊が降臨しやすい」と考えられてきました。
祇園祭で、お稚児さんの役割は、「神様の代わりに神様になること」です。
7月13日に「社参の儀」で
「正五位少将(しょうごいしょうしょう)」と「十万石大名」の格式をもらうと、
お稚児さんは正式に八坂神社の「神の使い」となり、長刀鉾町の神様となります。
そして、この儀式の後、神様に任命されている期間中は、精神潔斎の生活を送ります。
祇園祭の祭事の中でも神様としてのお役目はたくさんあるものの、
一般の人には見えない場所でも、神様としてのお役目はたくさんあることをご存知ですか。
実は、このお稚児さんには、伝統的なしきたりというものが大変多くあります。
例えば、「神様は地面に足をつけてはいけない」という決まりのため、
公共の場ではお役の人に担がれて移動をしたり、馬で移動したりします。
また、食事の際のお膳は火打石で清めてから食べたり、
長刀鉾が女性禁制だった為、食事も男性が作ったりします。
さらにこの女性禁制の決まりは、
「女性が稚児に触れてはいけない」という意味もあり、
稚児の母親であっても、子供に触れることはいけないのだとか。
その為、この期間中はお稚児さんの、お父さんやお祖父さんが、
全て身の回りのお世話をします。
そしてもう一つ、八坂神社の紋の形が「きゅうりの切り口」に似ていることから、
きゅうりを食べてはいけない。というしきたりもあります。
神様とはいえ、普段は小学生の8歳〜10歳の男の子が、
お稚児さんに選出された時に、たくさんのしきたりの中で生活しているとわかると、
なんだか応援したくなりますね。
まとめ
テレビで毎年選出がニュースになるお稚児さん。
お稚児さんの選出理由や、期間中サポートをする家族などを知ると、
より違った目線で、祇園祭が楽しめそうですよね。
そして、小さな男の子がたくさんのしきたりの中で、
頑張っているという裏側を知ると、
今年選ばれるお稚児さんをなんだか応援したくなりますね。
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