今や全国各地、様々な場所のお祭りで
風物詩となっている縁日の定番、金魚すくい。
きっとみなさんも1度はやったことがあるはず。
けれど、同じ道具を使っているのに、たくさん金魚をすくえる人もいれば、
すくえない人もいますよね。
もちろん生まれながらにして感覚的に上手にできる方もいらっしゃいます。
しかし、金魚すくいにはコツがあり、しかもそれを学ぶことができる道場や、
なんと腕を競い合う大会まであるという噂が!?
真偽を確かめるべく、金魚すくいについて調査してみました。
金魚すくいはいつからあるの?歴史を知ろう
そもそも今では一般的になった金魚すくいですが、
いつから行われているのかをご存知でしょうか?
正確な始まりの年や場所は分かっていませんが、
江戸時代中期〜後期に描かれた浮世絵には、
すでに金魚すくいを楽しむ人々が描かれているんです。
この頃の将軍といえば享保の改革を行ったことで有名な
江戸幕府第8代将軍徳川吉宗ですが、
彼が政権を執る頃にはもう庶民の間で金魚はポピュラーな存在だったようですね。
さらにもう少し遡ると、少し前の5代将軍徳川綱吉の時代には、
あの有名な生類憐れみの令が出されています。
勘のよい方はもうお気づきかもしれませんが、
実はこの令の中では金魚の戸籍登録まで義務付けられていた!
なんて資料も残っているようです。
金魚そのものが日本にやってきたのは室町時代とされているので、
それくらい、江戸時代には広くひろまっていた存在であることが分かりますね。
ただ、今では多くの家庭でしかもたくさん飼われている金魚ですが、
その頃はどの家庭に金魚がいるか把握できたくらいですから、
やっぱり今より遥かに貴重な存在であったことが容易に分かります。
金魚そのものの歴史はというと、もっともっと時代を遡らなければなりません。
最初に金魚が発見されたのは中国で、今から約1700年以上前とされています。
しかも、「金魚」として発見されたのではありません。
なんと、フナが突然変異した生物なんです。
2008年に行われたDNA調査の結果、
いまいる金魚の直接の先祖は「ギベリオブナ」と判明しました。
比較的養殖もしやすく見た目にも涼やかで、
より親しまれるようになっていった金魚。
明治時代の文明開化の流れを汲んで、西洋のペットを飼う、
という風習が次第に馴染むにつれて、
一般の家庭でペットとしての地位も確立してきました。
金魚とわたしたちの関係は、時代の流れを反映していますね。
余談ですが、金魚は養殖しやすい反面、
単に水槽に雌雄の金魚をともに泳がせているだけでは子供は育ちにくいそうです。
卵は生まれますが、成魚がその卵を食べてしまうためです。
同じ水槽内に何種かの魚を飼っていて、
一方が食べられてしまった!という話を聞くことがあります。
卵や稚魚はもちろんですが、
金魚同士であってもくれぐれも注意しないといけないですね。
さて、話を金魚すくいへ戻しますが、
浮世絵にも描かれているように、金魚すくいは江戸時代から続く行事なようです。
ただ、当時は金魚の数そのものも少ないですし、飼うことが一般的ではありません。
そのため、すくった金魚を家に持ち帰ることはほとんどできなかったようです。
もしかしたら政策で禁止されていたかもしれませんね。
すくい方も今のような和紙でできたポイなんてとんでもない。
しっかり、網ですくっていました。
お持ち帰りされることがないのですから、金魚が無事な限り数は減りません。
だから、何匹すくおうとも商売をする側は特に困らなかったのかもしれません。
金魚の流通量が増え、ペットとしての需要も高まった結果、
明治時代後期ごろには今のように網よりも強度の低いポイへと変化していきました。
金魚すくい道場があるってホント?
長い時間をかけ、時代に合わせて形を変えて愛され続けている金魚すくい。
風物詩として嗜むのも良いですが、
やっぱりすくえるのであれば多くすくえた方がカッコいいですよね。
練習場所があったらいいのに・・・とお考えのあなた。
実は、あるんです!
その名もズバリ、「金魚すくい道場」!
うーん、これは鍛えられそうです。
道場があるのは奈良県大和郡山市の「おみやげ処こちくや」さん。
ここ、大和郡山市といえば江戸時代末期に藩士
佐藤三左衛門が金魚の養殖を行なっていたことで有名で、
街中に金魚にまつわるグッズがたくさん並んでいるんです。
その象徴に、大和郡山市にはなんと、
金魚が泳ぐ公衆電話ボックスがあることでSNSで話題になりました。
さすが金魚の街ですね。
もちろん道場も本格的。入ってみると、
○級〜師範代まで、多くの門下生の名前が掲げられています。
門下生の数はなんと約400名!
また、こんな光景見たことがない!?
というほど多くの水槽が並んでいる場内は、
金魚すくいの練習にいそしむ人々がたくさんいます。
金魚すくいの練習をしたいけれど、入門しないと練習できないのでしょうか?
そんなことはありません。1回100円でポイ2回分の参加が可能です。
普段の縁日より、お安く金魚すくいに挑戦できます。
また、練習をしている方の中で上手な方がいれば、
もしかしたらコツを教えてもらえるかもしれません。
手軽に楽しめてスキルも磨ける、魅力的な道場です。
また、こちくやさんでは定期的に「こちくや杯金魚すくい大会」を開催しています。
日頃の練習の成果を夏でなくても確かめられます。
せっかく力を試すのならば、ライバルがいた方が燃えますよね。
この大会へ向けて、日々の練習を重ねている方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、上には上がいました・・・。
金魚すくいには全国大会がある!?
そう、なんと金魚すくい全国大会があるんです!
その名も「全国金魚すくい選手権大会」。
主催はなんと大和郡山市!市をあげての大きな大会です。
予選大会も全国各地で行われ、
本当に選び抜かれた金魚すくいの達人が集結する大会となっています。
予選に関しては、市の認定予選大会が各地で催されます。
場所は熊本、大阪、茨城、そして北海道!・・・などなど、
ほかにも多数の地域で行われ、
開催日が決まれば随時市のHPに更新されていきます。
競技としては個人戦と団体戦(3人1組)の2種があり、
個人戦は小中学生の部と一般の部に分けられます。
優勝者には、なんと個人の部では20万円、
団体戦では1人10万円分の旅行券のプレゼントだそうです!
これははるばる奈良の地まで挑みに行く価値がありそうです。
行くからには、優勝を狙いたいものですね!
じゃあどのくらいすくえれば優勝を狙えるのでしょうか。
まず断言しますが、30匹以上をすくえないと入賞することは難しいようです。
歴代の結果は大和郡山市のHPからみることができます。
しかし、驚くのはその数だけではありません。
なんと一般の部よりも小中学生の部の入賞者の方が、
多くすくっているではありませんか!一般の部の優勝者のすくった数が、
小中学生の第5位にあたる年もあります。
きっとたくさん練習されたのでしょう。小中学生、恐るべし。
会場内もかなりの人で埋め尽くされ、
なかなかこんな臨場感の中で金魚すくいを楽しむ機会はありません。
参加者として臨むもよし、
応援者として場を味わうもよしな一大イベントです。
まとめ
金魚や金魚すくいの歴史から、競技としても嗜まれている
金魚すくいについてまとめてきました。
お祭りで見かける金魚すくいの光景はなんともノスタルジックですが、
それ以上に江戸時代から愛され続けている立派な文化でもあります。
また、通年で金魚すくいを楽しめる場所は
東京・浅草にある「浅草きんぎょ」さんなど全国にあります。
競技として楽しむのもよいですが、
実はみなさんの意外と近くでいつでも楽しめるものでもあります。
はるばる中国からやってきた金魚に敬愛の念を込めて、
より金魚すくいを身近に感じてもらえると嬉しいです。
コメント